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「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」ポストプロダクションワーク
-フルCG作品4K、HDR上映の舞台裏-



第29回東京国際映画祭(2016年10月25日~11月3日/以下、TIFF2016)では、ソニーPCLのイベントクリエイションサービス「4KVIEWING®」の大型ビジョンを活用した、映像上映などが行なわれました(※1)。特に、2016年7月9日(土)より全国で劇場公開、注目された「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」の4K、HDR版上映は好評を得た作品であり、また、劇場公開版に引き続き、ソニーPCLがポストプロダクション(編集、カラーグレーディング)を行なった作品でもあります。
ハイレベルなクオリティコントロール、膨大な画像情報を前にして行なわれた「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」制作を、4K、HDR版制作の振り返りを中心に、担当者インタビューでお届けします。
※1 会場:六本木ヒルズアリーナ/実施期間:2016年10月26日~10月30日





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Interviewees

株式会社スクウェア・エニックス
綿森 勇 様(第2ビジネス・ディビジョン シネマティック アーティスト)
2005年 スクウェア・エニックス入社。コンポジットマネージャーとして過去自社タイトルのゲーム内映像などに携わる。
同作品ではコンポジティング&ポストプロセッシング・スーパーバイザー、最終品質管理を担当。

小材 龍平 様(第2ビジネス・ディビジョン プロジェクトマネージャー)
2007年 スクウェア・エニックス入社。プロジェクトマネージャーとして過去、「キングダム ハーツ」シリーズ、技術デモ「Agni’s Philosophy」などに携わる。
同作品ではプロジェクトマネージャーを担当。

小島 佳一 様(第2ビジネス・ディビジョン アーティスト)
1999年 スクウェア(現スクウェア・エニックス)入社。エディターとして過去、映画 「FINAL FANTASY」、自社タイトルのゲーム内映像、「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」などに携わる。
同作品ではエディターを担当。

ソニーPCL株式会社
石川 智太郎(技術部門 制作技術部 チーフテクニカルスーパーバイザー)
1989年 ソニーPCL入社。ハイビジョンテープ編集のアシスタントや、HDペイントマシンによるマットペインティングや合成を担当。CG・VFXデザイナー、ディレクターを経て、現在はテクニカルスーパーバイザーとして各作品の制作に携わる。

金田 大(技術部門 ビジュアルソリューション部/カラリスト)
2005年 ソニーPCL入社。カラリストとして映画、CM、PVなどに携わる。
同作品ではカラーグレーディングを担当。

宮坂 義明(技術部門 制作技術部/ソフトウェアエンジニア)
1999年 ソニーPCL入社。入社以来カラーマネジメントに長年携わる。直近では、リアルタイムアンバンド処理 「Pixel Shake」開発を担当。
同作品ではSDR/HDR両対応のカラーパイプラインを構築。


後列左から、金田 大、石川 智太郎、宮坂 義明(ソニーPCL)
前列左から、小材 龍平 様、綿森 勇 様、小島 桂一 様(スクウェア・エニックス)

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■「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」のご紹介をお願いします。
小材様:
「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」という映画作品(以下、「KINGSGLAIVE」)は、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY」シリーズの最新ナンバリングタイトルである「FINAL FANTASY XV」(現在PS4、PS4 Pro、Xbox Oneからリリース)と対になる物語を、フル3DCGの長編映像作品として描いた作品です。「FINAL FANTASY XV」のテーマは、「Unbreakable bonds(決して壊れることのない絆)」であり、中でも映像作品である「KINGSGLAIVE」は父と子の絆を描いたものです。「FINAL FANTASY XV」がノクティス王子を主人公として描いているのに対して「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」は、ノクティス王子の父であるレギス王を、王国の一兵士であるニックスの視点から描いています。

「KINGSGLAIVE」は、すでにゲームを遊んでいただいている方も、これから遊んで下さる方も楽しめる作品になっていると思いますし、また、普段忙しくてなかなかゲームをする時間が取れない方にも、単体の映画作品として楽しめるエンターテインメントコンテンツとして制作しています。 現在、ネット配信並びにBlu-ray Disc発売中(※2)となりますので、是非ご覧いただきたい作品です。
※2 各商品詳細は、商品案内等をご確認ください。商品等に関するお問い合わせ先はページ下「お問い合わせ先情報」をご確認ください。



■ポストプロダクション、上映サポートにソニーPCLを選らんでいただくきっかけになった出来事は?
綿森様:
今回は劇場公開用のHD、SDR版(以下、劇場公開版)制作からご協力いただいていますので、その頃からのお話になりますが、ご協力をいただくきっかけとなったタイミングは、「Real Scaling for 4KTM」(※3)のご提案をいただいた頃でした。「KINGSGLAIVE」はフル3DCG作品であるため、レンダリングのコストがかかります。そのため、ある一定のパフォーマンスを出さなければならず、それを補う策としてHDのクオリティを上げることにも繋がるということで「Real Scaling for 4KTM」をご提案いただいていました。
※3 「新アニメ・CGリマスター技術」など、ソニー株式会社で原理開発された複数の高画質技術を組み合わせ、オーバーシュートの発生抑制、ジャギー低減などを実現するソニーPCL開発の技術。作品ごとにカスタマイズやアップデートを継続し、2011年サービス開始の「Real Scaling for HDTM」から「Real Scaling for 4KTM」に進化している。

■なぜ、4Kに注目されたのですか?
綿森様:

「KINGSGLAIVE」をフル3DCGでHD制作することができたので、機会さえあれば4Kまでもっていきたいと思っていました。ゲーム(「FINAL FANTASY XV」)と映画(「KINGSGLAIVE」)を合わせた「FINAL FANTASY XV」のトータルパッケージとして、4Kも目指したかったのです。このプロジェクトにおけるスクウェア・エニックスサイドのチームは、ゲームと映画の両チームが同居しており、ゲームが4Kを目指していることのインプットがあったので、映画も足並みを揃えて4K化し、「FINAL FANTASY XV」トータルパッケージとしての最大化を図ろうと考えたからです。

もっと言ってしまうと「FINAL FANTASY XV」のトータルパッケージを最大化するためには何をすべきかを各々が追及していたので、どのタイミングでどんな案が出てくる分からない状況でもありました。集客、マーケティング、色々な側面から常に可能性を探り、決定したら即動く。解像度という面でいえば、4Kがそのひとつだったということです。

小材様:
4KでもHDRでも、着手する可能性はいつでもあり、それらをフレキシブルにワークフローに組み込む想定はしておく必要がありました。

金田:
では、4Kだけでなく、HDRの選択もテーブルの上にはあがっていたのですか?

綿森様:
HDRに関しては、随分前からテーブルにはあがっていたのですが、市場の動きも見ながら機会を伺っていました。そして今回、PS4、PS4 Pro、Xbox Oneという、HDRに対する市場のローンチがあったので、映画に関しても、チャレンジを進言しました。

小材様:
TIFF2016で4K、HDR上映を行うことにインパクトがあるかもしれない、というソニーPCLさんからの提案があったことも、良いきっかけでした。アウトプットの場がなければ企画だけで終ってしまいますので、良い機会だったと思っています。

■4K化だけでなくHDR化もソニーPCLで担当させていただいた、 そのきっかけになるエピソードはありましたか?
綿森様:
HDRに関して改めて相談をさせていただいたというよりは、お互いの話の中で膨らんでいったイメージです。劇場公開版制作からの流れもありますが、「Real Scaling for 4KTM」の検証の中からダイナミックレンジのお話をしたりデモを出していただいたり。その都度気持ちの良い対応をしてくださり、結果としてお願いすることになったという流れです。馬が合ったというか。

石川:

周辺環境が似ていたのでしょう。4KにしてもHDRにしても、ソニーPCLが扱う映像の周辺環境と、ゲームに関連したビジネスとの周辺環境、そして各ワードがクロスオーバーしていたのだと思います。

ソニーPCLサイドとしては、CGが持つポテンシャルを活かしたいという考えで一致していました。ワークフローを相談する時にレンジの数値を書き出して検討した作品は、私の経験上ではこの仕事が初めてだと思います。実写の場合、実物が持つレンジが存在し、それをカメラが捉えるのですが、「KINGSGLAIVE」は、CGとして作り出されたレンジがあります。あるものを損ねないことに重点を置いてワークフローを検証していきました。

宮坂:
ダイナミックレンジという意味で、実写にはない表現ができるだろうと思いながら、データの検証をさせていただきました。現実世界のダイナミックレンジの一部をカメラで切り取った実写に対して、「KINGSGLAIVE」のCGデータには、はるかに広いレンジが含まれていることが映像データからはっきりと分かりました。レンジを切り取る前の豊富な光の情報を持ったデータをもってすれば、リアルな映像体験ができるはずで、どのような映像になるのかを自分自身も見てみたいという気持ちと、質の良い映像を皆さんに楽しんでもらうために、HDR化を見据えつつ、ベストなデータパイプラインを構築するぞ!という思いで、プロジェクトに関わらせていただきました。


■画像情報のポテンシャルを引き出すにあたっての策は?
石川:
劇場公開版制作の際、HDR制作にもスイッチできるようなデータパイプラインを、宮坂が構築しました。そのため、4K、HDR版の制作では、劇場公開版で構築したデータパイプラインを基礎にしています。データパイプラインの構築にあたっては、スクウェア・エニックス様のワークフローによるデータを、ソニーPCLで受けるにあたっての最適なプロセスを考えます。カラーグレーディングまで持ち込めば撮影素材と同様の扱いをすることができるので、カラーグレーディングまでのフロー構築が重要でした。

綿森様:
まず、基本的な数字の約束事は交わします。HDRの信号情報なども、感覚的ではなく、宮坂さんを中心に数字に置き換え会話することにしました。これができるかできないかで、安心感や信頼感は随分変わります。CGは理詰めのところがあり、映像の数値的評価に対しては皆強いこだわりをもち、そして、判断の材料にしています。数値的評価をうやむやにしてしまうと、信頼によって繋がっているチームとの関係にも影響するので、コンポジットの責任者である私の立場としても、数値的根拠に基いた判断は譲れない部分でした。劇場公開版制作の時から、その部分を、ソニーPCLさんは確実にパスするとお約束くださったので、安心と信頼を寄せることができました。

宮坂:
おっしゃる通り、数字で話ができるというのは大きかったですね。

綿森様:
映像制作に関わる各社は、それぞれに良い都合のデータ形式というものがあります。そのため、どこかのタイミングでそのデータ形式に合わせることもあるのですが、なぜこの形式にしたのかという部分が明確でないと、お互いに不安になってしまいます。ソニーPCLさんはその部分も数字として示してくださったので、納得の上で進めることができました。

宮坂:

色域の規格名ひとつとっても、規格名を出せばそれで済むかというとそうではなく、運用方法にローカルルールのようなものも存在します。今回の色がどのルールで設計されたものなのかスクウェア・エニックス様と認識合わせができた上で、データの入稿から仕上げまで情報を損なうことなく工程が進行するよう、データパイプラインを構築することが重要だと思っていました。


綿森様:
プロジェクト開始当初「この結果で合っていますか?」と宮坂さんからよく連絡が来ていましたね。

宮坂:
シネオンログひとつとってもソフトによって扱い方が異なる場合もあります。そして、それを見落としてしまうと会話が成立しなくなってしまいます。 ガンマ式の扱い方のちょっとした差異で結果が異なってしまうことがあり得ますので、細かいことではありますが、ひとつひとつ認識合わせをさせていただいた上で、ポストプロダクションワークのパイプライン構築を進めた方が良いと考えました。

綿森様:
これまでのお話のように、数字で会話をしたり比較をしたりするのですが、宮坂さんはよく「視覚的に合致している」という言葉を使われます。どんなに数値的な合致を求めても、誤差が出てくることはあります。その時、合致しているとみなすのか否かで、「視覚的に合致しています」という言葉をもらえると安心したし、宮坂さんらしいなと思っていました。

石川:
数字の話をするのにも、時代性があって、今回登場した“シネオンログ”というものに関しても、この会話を数値的根拠に基いてできるのは、フィルム現像の経験があるポストプロダクションに限られてしまうように思います。私たちはシネマのDIでこの経験があったので、懐かしくもあり、嬉しくもありました。

■4K、HDR版のカラーグレーディング後の映像をご覧になっていかがでしたか?
綿森様:
まず、結果に満足しています。
私は、カラーグレーディングは最後の壊し作業だと思っています。理詰めで作っていったデータに対し、映像としてひっかかるものに仕上げるための追求をしていただく工程だと思うので、数字や理論で進めていたものを、遠慮なく壊して欲しいとお願いしました。金田さんは劇場公開版、4K、HDR版共にその要望を消化してくれました。

金田:
4K、HDR版制作にあたり、“劇場版でSDRレンジに収めていたHDR要素を、開放する”という方針から、“HDRのレンジを最大限に活かした再演出を行なう”という方針に変わりましたね。

綿森様:
ロジックに落ち着くまでには時間がかかるので、まずはHDR要素の開放という、基礎的な部分をお伝えしていたのですが、制作に進むにつれ、SDRとの比較を考慮する必要があるのか、という疑問が湧いてきました。HDR版の作品を見るとき、視聴者の多くの方々は今目の前で上映しているHDR版に集中するでしょう。ですから、その瞬間の中でいかに楽しんでいただくかが最も重要なのではないかと思い始めたのです。SDRと信号が合致している、いない、というのは、視聴者側には関係なくて、制作側の都合ともとれますよね。そこで、改めてHDRの魅力を使って、映像としての楽しさとかを伝えるべきなのではないか、と思ったのです。
実は、金田さんからご提案いただいて、回想シーンにSDRを数カット入れています。そうすると古いビデオのように見えてくるのです。とても、それっぽい。

石川:
私たちも、4KやHDRという言葉は目の前にあるのですが、表現となると、腑に落ちるまで少し時間がかかる。普段金田も戦っているのが、″生っぽい“と″クリエイティブ”の境です。HDRや4Kで制作している意味というものを立ち返って考えなければならなくなるケースもあります。固定、規定の概念で縛られたHDRではなく、新しいチャンレンジに向かっていくというのは、ある意味で境だなと思います。

綿森様:
私たちにとっても、この規模感のプロジェクトは珍しく、10年に一度あるかないかのレベルです。1番手になりたかったし、この貴重な機会にやれるべきことは全部やっていこうとう気持ちがありました。

■TIFF2016での上映を終えての感想をお願いします。
金田:
TIFF2016での上映を終えて、様々な感想を見受ける機会がありましたが、HDRによる違いを分かって下さる反応があり、今後の励みになりました。私たちは作り手ですし、それこそ、SDRとHDRを見比べながら制作を進めるシーンもあるので、SDRとHDRの違いは分かっているのですが、一般視聴者の方々にもそれが伝わったということが、とても嬉しかったです。

小材様:
私は立場上客観的に見ることが多くありましたが、4K、HDRがユーザーにインパクトを与えられるのかとても気になっていました。ただ、前例が多くないだけに、やってみないと分からないとも思っていました。結果的に、見て頂いた方からは高評価なご意見を頂け、ほっとしましたが、何をポイントにカラーグレーディングをされていたか、実はとても気になります。

小島様:
確かに、4K、HDRというキーワードに反応されるのは、放送、ゲーム、映画業界の方、AV機器に興味のある方、コアなゲーマーの方たちで、一般の方への普及はまさに今年から。そうなると、実際に4K、HDRを観ていただかないと、その良さをどの程度分かっていただけるかは、私達にも分からないですよね。

石川:
正直なところ、“これなら響く″までには至らず、どのレンジの中で画作りをするかということを、クリエイティブな目線で考えていました。例えば、ニックスが門の前で待っているシーンでコントラストのお話がでていたのをきっかけに、デイライトが当たっているような、きつめのコントラストにしたら、驚いて下さいましたよね。その繰り返しです。HDRを扱う方が少ない中だからこそできる、画作りだったかもしれません。

宮坂:
ニックスのシーンの他にも印象的なシーンが随所にありましたね。陽をバックにしたルナフレーナのシーンの空気感は、まさにHDRでしか表現できなかったと思います。制作者として貴重な映像に触れる機会をいただけたことは、とても幸せだと思いました。



(C)2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
本静止画:HD、SDR版より



小島様:
印象的なシーンを更に盛り上げるという考え方で作っていただいたということですね。作り手も観る側も同じ観点でひっかかるものがあったのと思います。

石川:
HDRを“クリエイターのためのHDR”という位置づけにするのが、私の望みでもあります。フレームレートも解像度も同じですが、リアルに向けて進化しています。各国の天気を中継するような、ライブ感のある案件であれば腑に落ちる部分もあるように思いますが、作り込んでいくものに関しては、活かし方のインプットを整理しないといけないように思います。「KINGSGLAIVE」でいえば数値がその拠り所だったわけですが、ディレクターやカメラマンがどれだけHDRを理解しているかで全く異なる仕上がりになるので、HDRがより多くのクリエイターにうまく理解、利用されると良いと思います。




■「4KVIEWING®」の大型ビジョンをご活用いただいたご感想をお願いします。
綿森様:
「4KVIEWING®」の大型ビジョンを数年前のInter BEEで目にしてから、いつかこれを使いたいと思っていました。とてもワクワクする表示デバイスだと思います。

小材様:
「4KVIEWING®」の大型ビジョンは、HDR抜きにしても、これだけの画面で高精細に見えるのかと思いました。一般の方々もこういうものを求めているのではないかと思います。

■CGが16bit制作されている中、表示デバイスのスペックが追いついていない現状があります。
今回は「Pixel Shake®」(※4)をご利用いただくことで階調を補完しましたが、制作環境と表示環境に差があることに関して、どの様に感じていらっしゃいますか?


綿森様:
制作環境と表示デバイスの間にギャップがあることに関して、まったく抵抗はないです。私たちは、どんなプラットフォームにも耐えられるデータを作ることを理想としています。アウトプットが限定されているのは、私たちとしては当然のことです。最適と思われるデバイスをご提案いただいたらそれを受け取るし、今回は、私たちの考えを上回る策をご提案いただけたと思っています。

宮坂:
階調表現の差によるバンディングノイズは、クオリティの評価に直結してしまうと感じていましたし、バンディングノイズは視認しやすいデジタルノイズです。ノイズを気にせずストーリーに集中して作品を楽しんでいただきたいという思いもあり、「4KVIEWING®」の大型ビジョン上で滑らかな階調表現ができる「Pixel Shake®」を導入させていただきました。時と共に進化する上映技術ですが、「KINGSGLAIVE」は開発を進める良いきっかけであり、目標になりました。

※4 ソニーPCLが開発したアンバンディング技術。階調変換の際におきるバンディングノイズを低減し、滑らかな階調再現を可能にします。

■劇場版制作を含め、長編CG作品のご協力をさせていただくことで、 ソニーPCLとしても大変勉強になりました。 実写等を多く扱うポストプロダクションとのパートナーシップに対するご感想はありますか?
綿森様:
映像作品として仕上げるのであれば、実写作品が豊富な方々にご相談するのがベストだという動機から、早い段階でポストプロダクションのお世話になりたいと思っていました。ただ、CGと実写は畑が違うので、同じ言葉や用語でも捉え方が違います。その点でのストレスを危惧していたのですが、共通の言語が見つかったことも、大きな成果でした。

小材様:
私たちはゲーム会社ということもあり、ポストプロダクションの設備やノウハウがありません。今回は映画を作りたかったので、そこは、プロフェッショナルにお願いする必要がありました。映画制作に対して、私たちに欠けている部分をどのような形で補完してくれるのかという観点で、綿森、小島と検討し、良い結果を得られたと思います。

石川:
ソニーPCLでは、実写やアニメーションを日々多く扱っているわけですが、ピクセルをどう加工するとより良くなるかという部分はCGでも共通しています。感性や技術の要素的な部分も含めて、任せていただけたことが、私たちとしてはとてもありがたかったです。私はVFXの畑で異種格闘技戦のような経験をしたこともあったので、その経験も生きたのかもしれません。

金田:

SDRにしてもHDRにしても、日本の合成技術が「KINGSGLAIVE」のレベルまでくれば、ハリウッドも夢ではないと思いました。それくらい、インパクトのあった作品です。また、RAWデータをさわるようなイメージでカラーグレーディングに取り組むことができた点も、とても良かったと思います。日本でも「KINGSGLAIVE」の様にトータル的なワークフローを考えられる環境が浸透すると良いのですが、なかなかそこにたどり着くのは難しい現状があります。ただ、今回の経験で、合成技術にしても、フローにしても、光明が見えてきたなと思いました。

小島様:

CG制作を含めたワークフローという部分だと、スクウェア・エニックスとしてもチャンレジした部分はありました。CG制作の各国協力会社に対して、細部まで解説したマニュアル配布やレクチャーを行い、コンポジット方法や納品フォーマットを指示、統一の考え方を持っていただいたのです。ポストプロダクションを含めたフローももちろんですが、全体の制作フローとしても次回以降に繋がる取り組みをしました。


石川:
劇場版制作の際、カラーグレーディングを施す段階を検討されていましたが、今回の様に全体を作り上げた上でのカラーグレーディングで良かったと思います。各シーンやクリップごとで作りこんでいったとしても、全体通して見ていく必要はありますし。

小材様:
そうですね。完成形としてもフローとしても、スタンダードになると思います。


小島様:
スクウェア・エニックスでは、ディレクター、ライティングスーパーバイザー、コンポジットスーパーバイザーが制作を管理していて、それぞれがデジタル世界のトレンドに敏感です。彼らと、カラーグレーディングの分野でトレンドに詳しい金田さんが、直接コミュニケーションをとりながら進めていくことで、相乗効果による良いものが作り出されたとのいえると思います。

■最後に、ソニーPCLの総合力に対して、ご感想をお願いします。
綿森様:
私たちのプロダクションのかたちに寄り添い、チームになって下さったと思っています。そして、倍化していく化学反応を起こすことができたと思います。テクニカルチームだけではなく、営業のみなさんもサポートしてくださったことで、私たちは目指すところを達成できました。

石川:
ありがとうございます。
コンテンツが多様化する中で、ポストプロダクションに対するパートナーシップを感じていただくためには、私たちもプロダクションでなければならないという考えを持っています。ワークフローとしてはポストプロダクションかもしれませんが、ただのポストプロダクションに留まる時代ではないと思っています。

小島様:
ソニーPCLさんとは「FINAL FANTASY VII Advent Children 」、「FINAL FANTASY XII」トレーラー、「FINAL FANTASY XIII」3Dシネアドという、何か初めてのことを行なうタイミングでご一緒させていただいています。そして、その都度期待に応えてくださいます。また良い作品作りができればと思います。




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■お問い合わせ先情報
「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」「FINAL FANTASY XV」の商品情報
http://www.jp.square-enix.com/kingsglaive/

ソニーPCLのポストプロダクション技術に関するお問い合わせ先
ソニーPCL株式会社
技術部門 ビジュアルソリューション部
TEL:03-3492-9686

ソニーPCLの「4KVIEWING®」に関するお問い合わせ先
ソニーPCL株式会社
技術部門 制作技術部 4KViewing推進課
TEL:03-5792-9423



・「4KVIEWING」はソニーPCL株式会社の登録商標です。
・「Real Scaling for 4K」はソニーPCL株式会社の商標です。
・「Pixel Shake」はソニーPCL株式会社の登録商標です。
・記載されている名称等は、一般に各社の商標または登録商標です。